芦田晋作の三文レビュー

音楽、映画、小説、漫画などを三文でレビューします。

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

"セミくんいよいよこんやです"工藤ノリコ

セミくんと違って目覚ましのベルは14歳から聞こえていた。 セミくんと違って家を出ても羽根は生えなかった。 セミくんと違って森のみんなは祝福してくれなかった。

"Lover Man" Jimi Hendrix

"あなたに"玉置浩二

夢は一人で楽しむもの。 「夢は人に話してはいけない 眠れない夜に思い出して」 夢は誰かと決めてもいけない。

"ブルゴーニュの家並" 友川カズキ

"somebody to love"Jefferson airplane

歌い出したところで息を止められる。 聞いているうちに息が詰まってくる。 人の息の根を止めようとする音楽が60年代にはあった。

"拝啓、ジョン・レノン"真心ブラザーズ

"氷の世界"井上陽水

氷の世界を出るのは牙をもがれるようで怖かった。 「窓の外ではリンゴ売り 声をからしてリンゴ売り きっと誰かがふざけて リンゴ売りのまねをしているだけなんだろ」 ぬるま湯につかっているように見えるかもしれないが若者を凍らせるぐらいの冷たさは残るか…

"二死満塁"砂田弘 山中冬児

"百行書きたい"秋亜綺羅

この詩の世界で生きたいと思ったのに60年代というのは二度とおとずれない季節なのだと気がついたのは90年代に入ってからである。 「接吻のあとに“ゴヲゴヲ踊ろうか”とささやきたい こんどは誰の番か知りたい 東京へ行きたい 水平線で凍死したい これは盗作だ…

"WAR" ブルース・スプリングスティーン

"絵本のようにめくる教会の物語"町田俊之

もう一人では生きていけないと分かった時に行くところ。 「自然がこんなにも美しいのに、この世に別れを告げることなど考えられない(ジャン・シベリウス)」 もう人間ではだめだと思った時に神に呼ばれるところ。

"蜘蛛巣城"黒澤明

"奇跡の人"アン・バンクロフト パティ・デューク

格闘の末に「water」という一語にたどり着いた奇跡。 見えない、聞こえない、話せないという三重苦を克服した人よりも奇跡の人がいた。 三重苦を克服させた人だった。

"北の国から 16話"倉本聰

"迷子"谷川俊太郎

愛するとは何か。 「私が迷子になったらあなたが手をひいてくれる あなたが迷子になったら私も地図を捨てる」 ひとつになるとは何か。

"みんな夢の中" おおたか静流

"雨、蒸気、速力、グレート・ウェスタン鉄道"ターナー

名画は形を変えてでも世紀や国境をこえる生きものである。 「虹色のシャンペインを かたむける君の 見つめる絵はターナー おぼろげな汽罐車が走る 音も立てず こんな夜の中じゃ 愛は見つからない」 遠い国で、都会的な歌になっていた。

"トパーズ"村上龍

"美味しんぼ24 カレー勝負"雁屋哲 花咲アキラ

この問いが忘れられない。 「まず第一にカレーとはなにか?カレーの定義だ。カレーと呼ばれるためにはなんとなにが必要なのだ?これを欠いたらカレーと言えなくなるという、決め手のスパイスはなんだ?」 国家とは、人間とは、幸福とは、芸術とは、料理とは…

"ギルバート・グレイプ" ジョニー・デップ

"ある患者の詩"ニューヨークリハビリセンターの病室に彫られていたもので作者不明

「大事を成そうとして力を与えてほしいと神に求めたのに 慎み深く従順であるようにと弱さを授かった」 神とのやりとりをするのに成功を必要とする者もいれば、病気を必要とする者もいる。 「神の意にそわぬ者であるにもかかわらず 心の中の言い表せない祈り…

"よあけ"ユリー・シュルヴィッツ

"宇宙に行くことは地球を知ること"野口聡一 矢野顕子

「死の世界」 宇宙を表現した詩の中で最も短く優れており、地球を表現した詩の中で最も短く優れている。 「命の輝き」

"鬼畜"松本清張

"勝負哲学"岡田武史 羽生善治

恐怖から解放される瞬間。 「"勝てる"と確信してからの最後の三手は、震えながらの着手となってしまって、マス目にうまく駒が置けず、自分でもちょっと困りました」 夢を追い詰めた瞬間。

"FUKUOKA" ASKA

"ヨイトマケの唄"美輪明宏

母親の仕事を見た衝撃。 「帰って行ったよ学校へ 勉強するよと言いながら」 未来を変えるほどの衝撃。

"濁色の残像"友川カズキ

"さびしいまる、くるしいまる"中村うさぎ

誰でも何かへの依存の海の中で暮らしているのかもしれない。 これほど溺れてはいないというだけで。 パートナーがいても、再来年の印税まで前借りしても、ホストにありがとうと言われても、泳ぎ切ることにはならない海。

"ミスティック・リバー" クリント・イーストウッド